ある施設に保健所の抜き打ち検査が入り、レジオネラ菌が検出され、保健所より改善措置
を求められ、お客様より依頼がありました。
循環式浴槽では循環経路内にろ過器などを設置して浴槽水を浄化して循環させていますが、設備の性格上、入浴者による汚れや表皮成分(皮脂等)などの有機物、それを栄養分とする微生物類が汚れなどに混じって絶えず浴槽水中に持ち込まれています。
さらに温度条件等、微生物の生育環境に適した条件が揃っていることから、レジオネラ属菌の温床になるる可能性が高い設備といえます。
特に汚濁物質が付着・堆積するろ過装置内では、細菌やカビ類あるいは原生動物(アメーバー等)などの各種微生物が有機物質を栄養源として増殖しやすく、これらの微生物はろ過装置内のろ材表面やその内部はもちろん、浴槽や配管の内壁、継手部分などに定着して増殖し、生物膜(バイオフィルム)を形成します。
このバイオフィルム内部でレジオネラ属菌などの病原微生物が増殖し、しかも消毒剤が届きにくい状態であり、不利な条件から保護されることになるのです。
循環経路内に生物膜が形成されている浴槽では、いくら殺菌消毒を行っても効果があるのは湯水に対してだけで、生物膜内部のレジオネラ属菌には効果がありません。その中で絶えず増殖を続けている状態になります。
このような場合は、たとえ水質検査を行った結果、浴槽水中のレジオネラ属菌が検出されない(10CFU/100ml未満)場合でも安心はできません。
なにか物理的な要因などで生物膜が破れて、その中の増殖した菌がいっきに浴槽水中に遊出し汚染される可能性もあります。
以上のことから、レジオネラ属菌の繁殖を防ぐためにはその発生源となる生物膜を完全に取り除き、かつ形成させないことが最も重要となります。
生物膜を形成させないためには、単にレジオネラ属菌だけでなくその宿主となるアメーバーや、生物膜・スライムを作る細菌類等の各種微生物を定着・繁殖させないこと、さらにはその微生物の栄養源となる有機質汚れを付着・堆積させないことが必要となってきます。
そのためには、ろ過装置、シャワーやカランを含めた配管内部を徹底的に洗浄し、生物膜を完全に除去し、作業終了後の水質検査もレジオネラ菌
は検出されずに無事終了しました、もちろん一年に一回の洗浄をご提案いたしました。